禁煙することで、あの真っ黒な肺は一体どこまで回復するのか?

たばこの害といえば、誰でも一度は「非喫煙者の肺」「喫煙者の肺」の比較画像をご覧になったことがあると思います。かたや鮮やかな色でいかにも健康そうな肺。かたやどす黒く、全体がただれたような肉塊…。グロいのが苦手な人はもうこの画像だけで「ギャー」と叫んでしまいそうなシロモノですよね。

医師らはこの画像を指し示しながら「この黒いのはたばこ、特にタールのせいです」と説明して、「1日も早く禁煙して、きれいな肺を取り戻しましょう」と迫ってくるわけですが、残念ながら「では、禁煙すると肺はどの程度回復するものなのか」という情報は少ないのが現実です。

スモーカーのみなさんにしてみれば、禁煙が肺に良いことは分かっていても、その数字的な根拠であったり、データなどがあれば、禁煙の励みにもなると思うのですが、個人個人の肉体再生能力の差であったり、1日何本吸うか、何年吸っているかといった条件の違いから「禁煙○年で病気リスク30%減」みたいなことはなかなか示しづらいのかもしれませんね。

とはいえ、心肺機能は人間の生命活動を司る上で大事な機能であり、とても気になるとこだと思いますので、今回は個人個人での条件の違いがあるとの前提の上で、肺機能について紹介したいと思います。

禁煙後10年以上で病気リスク低減

以前の記事でも紹介した「イギリスたばこ白書」(1998年)によれば、

  • 「喫煙者の肺がんリスクが低下するのは禁煙後5~9年後

  • といわれ、

  • 「喫煙による病気罹患リスクがたばこを吸わない人と同程度の確率になるには10~15年必要

  • とされています。

    family

    年数に幅があるのは、やはり本数や喫煙年数、喫煙時の呼吸状況などで肺への影響度合いが変わってくるためなのは仕方ないですね。

    気になるのは、冒頭でも触れた「あの真っ黒な肺」ですが、東北中央病院禁煙外来のサイトによれば、細胞の再生機能で「ある程度」の回復は見込めるそうです。

    「ある程度」と断ったのは、たばこを吸おうが吸うまいが、どうしても人の身体機能は年々衰えていくためです。当然、肺も年々機能低下し、禁煙して再生しようにも代謝機能も衰えてきていますので、どうしても「たばこを吸う前の状態には完全には戻らない」というのが実情です。

    禁煙しても肺が完全には元に戻らないとなると「それなら、このまま吸い続ける!」という方も出てきそうですが、その発想はオススメできません。

    それは、やはりたばこを吸う限り肺の破壊は日々加速され続けるためです。しかも現代社会ではたばこに限らず、排ガスや化学物質、さらに最近では中国の大気汚染PM2.5問題などで、たばこを吸わない人でも肺は毎日汚されていきますので、たばこで追い打ちを掛けてしまうのは危険とさえ思えてきます。

    もともと、肺は空気中の酸素を取り込む「ガス交換」の場です。本来、ふわふわとした柔らかい部位(スポンジやマシュマロにたとえられます)だそうで、房状になった肺胞で血液と空気のガス交換を担っています。ここにたばこを吸って発がん性物質とともにタールが入り込んでくると、肺胞構造は次第に破壊され、どんどん肺はスカスカになります。

    breath

    また、慢性的な炎症などを繰り返すうちに固くなり(繊維化、線維化とも)、やがては癌を引き起こすとされます(広島県禁煙支援ネットワーク「たばこの健康被害」より

    「死なせてくれ」と泣いて訴える肺疾患患者

    喫煙により一度失われてしまった肺機能は、禁煙しても完全に取り戻すことは現代医学ではできません。私が禁煙を決断したきっかけになったのは気管支の持病ですが、この時以来お世話になっている医師からは何度もおっかない話を聞かされています。

    「病気で肺がダメになるとつらいよ。呼吸ができないからすごく苦しいよ。」

    「残酷だよ。『死なせてくれ』と泣いて訴える肺疾患患者さんを何人もみてきたよ」

    COPDの記事でも触れましたが、たばこを1本吸う度、肺の中で大切な細胞がプチプチと壊れていくこと想像すると、心からたばこが嫌になってくるかもしれません。

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    7 Responses to “禁煙することで、あの真っ黒な肺は一体どこまで回復するのか?”

    1. hiro より:

      私は大分県でちいさな焼肉屋を営んでおります。
      この5~6年間でお得意さんが癌、脳こうそくで
      7人お亡くなりになりました。
      全員、喫煙者です。
      その中のお二人に私が遠まわしにタバコの怖さを
      お伝えしましたが聞く耳をお持ちになりませんでした。
      焼肉屋とゆう特殊な営業形態のためむやみに禁煙化にもしずらく受動喫煙も心配なんですが扇風機を利用して換気扇に煙をあててしのいでます。
      かすかな煙でも反応する体なので非常に憂慮しております。
      自治体が強制で禁煙にしてくれることを願っているのですが期待はできません。
      このような放射能より怖い趣向品を国はいつまで放置するのでしょうか?
      いったい、身の回りで何人の命がなくなっていくのでしょうか?

      • polaris より:

        hiroさま

        コメントありがとうございます。体調を崩して更新が滞ってました。ごめんなさい。

        懇意にしてくださったお客さんが次々とお亡くなりになって、しかも全員喫煙者とはショックですよね。
        たばこを吸っていた私としてはドキッとさせられるお話でした。

        自分もかつてそうでしたが、喫煙者は体調不良になってはじめて「たばこ止めようかな」と思う程度で、
        1本1本がじわじと体を蝕んでいる感覚には鈍いところがあるかもしれません。

        受動喫煙に関しては健康増進法で社会的にだいぶ敏感になった部分もありますが、
        規制そのものは禁煙先進国と比較すればまだまだ緩いというのが現状です。

        hiroさんの仰るように考えようによってはたばこの方が放射能よりも恐ろしい面もありますが、
        「喫煙する自由」という個人の問題になってしまうと、なかなか強制力をもてない部分もあり、
        たばこでお亡くなりになる方は減りつつも、現状ではゼロにするのは難しい気もします。

    2. イケガミ より:

      自分タバコ吸い始め、27年、最近10年は、営業の仕事になり1日60本の超ヘビースモーカーに、なりました。今から、禁煙して、東北中央病院禁煙外来のホームページのように、なりますか?禁煙効果例えば10年禁煙で、肺癌リスクが、非喫煙者と同じと、どこの病院、薬局でも、言つていますが、具体敵にガイドラインが、ありません。1日10本の人も1日100本の人も同じ10年禁煙すれば、同じ効果が得られば、禁煙する方が、増えます、1日100本も吸つているので、今さら禁煙しても、手遅れと、あきらめてしまう方が、多くいると思います

      • polaris より:

        こんにちは!
        なかなかのヘビースモーカーですね。私のピーク時とどっこいです。

        肺やその他の機能が元に戻るか、というご質問についてですが、私は「完全復活はありない」と思っています。
        もっとも私は医師ではありませんので、具体的なエビデンスを持ち合わせていませんので、私見だと思ってくださいね。

        癌化リスクについては喫煙を続けることでリスクが高まっていくという点で医学的に見解が一致しているようですが、「何年何本すったら○○がん」という条件(しきい値)は個人差が大きすぎて明確にはなっていません。

        私のかかりつけの内科医は「喫煙はロシアンルーレット」といっていました。運が良ければ、生涯吸い続けても健康になんら影響もない場合もあるが、運が悪ければほんのわずかな喫煙期間でも病気になってしまう場合もあるということのようです。

        確率論でいえば、吸い続けることで病気の確率は日々高まっていきます。確かに人によっては「手遅れ」というケースもあるかも知れません。でも、今後も死の確率を高め続ける行為を、わざわざお金を払って続けるのはもったいないのでは、と思いませんか?

    3. 三枝 寿彦 より:

      今年2月に倒れました。病名は肺水腫による急性心不全です。呼吸困難で死を覚悟しました。とても恐ろしかったです。強いタバコを40年吸い続けた結果です。冠動脈が狭まって肺に水が溜まりました。苦しくて眠れず、1週間で5時間程度の睡眠でした。そして、三途の川を見る羽目になったのです。今はしっかり禁煙していますが、130日経っても吸いたい衝動に駆られています。ニコチンの恐ろしさ実感しました。

      • polaris より:

        三枝さま

        こんにちは、肺水腫そして心不全ですか。とても大変なことに遭われ、心からお見舞い申し上げます。
        死ぬ間際までのつらい体験をされて禁煙を決意されて実行されてること、とてもすばらしいと思います。

        130日経っても吸いたいというニコチンのひどさにはほんとうにあきれてしまいますね。

        ただしつこいのですが、一回の衝動は弱く短いと言われていますので、あまり意識しすぎて、それがアンカーになってしまわない程度に
        かわしていく方法をご提示できればと思います。

        早くニコチンが抜けて、元通りの元気なお体になられることをお祈りすると同時に禁煙の応援させていただきます。

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