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人間心理に巧みに潜り込んでくる。たばこの本当の怖さ

投稿日:2011-12-22 更新日:

たばこの本当の怖さは「病気」ではないと思います。「はぁ? なにいってんの?」と突っ込まれそうですが、実際のところ、怖さは別のところにあるとにらんでいます。だいたい、喫煙者は肺がんになる、心臓病になる、肺気腫になる――などの「病気になるかもしれない」リスクはなんとなくとはいえ知っている方ばかりです。でも、やめられません。

病気のリスクを認識してもなお、巧妙に吸わせ続けるマジック

これこそが真の恐怖ではないでしょうか。

surprise2人間誰しも、結局、いくら説明を受けて理解したつもりでも、実際に病気にならない限り、実感がわかないものですよね。私自身、風邪の後で気管支炎になってしまい、たばこ吸う度に息もできないほど激しく咳き込んだんですが、喉元過ぎればなんとやらで、気管支拡張剤を処方されながら、再びぷかぷかと吸っていました(хх,)

行動経済学でも考えてみる

経済学に出てくるような「超合理人間」であれば、「たばこ→毒→吸わない」と、きっぱり理性的な対応もできるのかもしれませんが、人間は感情で動くので、なかなか割り切れるものではありません。病気に対してもどこか「自分は大丈夫」という楽観視しているところもありますし。

「病気の危険は分かるけど一服したいじゃん。禁煙? はいはい、そのうちそのうち」

喫煙者の多くがこんな感じじゃないでしょうか。

  1. 喫煙すると病気になるリスクは「先」の話
  2. 喫煙して快感を得るのは「今」の話

こうした状況になると、人間は

目先の利益にとらわれやすい

傾向があり、「今」を優先させてしまいます。よくたとえに出されるのが、「『1年後に11万円もらう』のと『今すぐ10万円もらう』のとどっちがいい」というの質問に、多くの人が「今すぐ10万円」を選ぶというやつです。

このような考え方は、行動経済学と呼ばれ、古典的な経済学の手法に人間の心理や弱さを考慮した形で研究が進められています(右のマッテオ・モッテルリーニ著「経済は感情で動く はじめての行動経済学」は、読みやすくて面白いです。和訳にやや癖がありますが、とても経済学が身近に感じられて、ビジネスシーンでのネタや酒の肴にももってこいです)

経済は感情で動く―― はじめての行動経済学

マッテオ モッテルリーニ 紀伊國屋書店 2008-04-17
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さて、たばこに話を戻します。

重大な健康リスクが待っているかもしれないけれど、ニコチンの快楽を求めて、また一服。また一服。行動経済学で考えても、とても人間くさい行為ですが、ここにニコチンが上手く入り込んで、依存症を加速させています。

ニコチンは脳の神経伝達方式を作りかえ、ニコチンがなくなってくると「ニコチンが足りませんよ」と信号を送り、追加を促すようにしてしまいます。

この信号がとても不快な禁断症状というやつです。ニコチンは(ごく瞬間的な)快楽をくれると同時に、心身に苦痛を与える両面性があるということです。行動経済学における感情の呪縛から逃れる決意をして、たばこをやめようとしても「吸えないと苦しいぞ、ほらほら。1本ぐらい吸いなよ」とずるずる依存生活に引きずり戻そうとするのです。ただでさえ、人間は感情と戦うのが難しいのに、ニコチンのせいでより困難になっている、ということですね。

喫煙による病気、確かに怖いです。ですが、たばこの本当の怖さは「脳が作りかえられている」ところにあります。ニコチン依存症は、単なる生活習慣上の症状ではありません。「脳の病」です。禁煙の成功のカギは、我慢や根性といった精神論だけではなく、ニコチン漬けになった脳をどのようにして、正常な状態に戻すかというアプローチも理解しておく必要があると思います。

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