1箱1000円?! たばこ増税の前に考えて欲しいこと

「たばこ1箱を増税して1000円にしよう」というアイデアが厚生労働省が中心となって議論されています。ここ数年、税制改正のたびに話題になっており、今後、たばこの値段は高くなることがあっても安くなることは一切ないのだろうと思います。ただ、この安易な増税には元喫煙者の自分としては素直に賛成できない部分があります。

吸わない人からすれば当然!?

 オーストラリアやニュージーランド、イギリスなどは2015年段階でいよいよ一箱2000円台が目前に迫っており、確かに先進国のたばこの値段に比べれば、日本にはまだ増税の余地はあるように見えます。

 保健医療の観点からいっても、たばこを一切吸わない人からみれば、「喫煙者は自ら疾病リスクを高めておいて、で病気になったら、非喫煙者も払っている保健を適用される。それは不公平だ!」という議論も成り立ちますし、副流煙にさらされている苦しみも分かります。むしろ1箱=1000円でも安いくらいだ!と叫びたくなる人もいらっしゃることでしょう。

 ですが、ひとつ理解しておいていただきたいのがたばこを吸っている人が必ずしも「吸いたくて吸っているわけではない」という点です。

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本気でやめたいという人を救って!

 「はぁ? 自分で吸っておいて何いってるの?」。非喫煙者のみなさんの声が聞こえてきそうですが、筆者は、たばこを吸っている人たちには2タイプいると確信しています。ひとつは、「たばこが大好きで吸っている愛好家タイプ」です。たばこを愛しているのでマナーも守りますし、嗜好品として増税対象になっても「ふっ、仕方ないな」と笑えるような余裕のタイプです。

 もうひとつのタイプが「たばこなんて、やめたいのにやめられない…」という悶絶タイプです。ニコチン依存症であったり、あるいは心身に別な病を抱えていたりという、心のステータスが意思決定を困難にさせるほど、深刻な影響を及ぼしており、「自ら律する」という状態で、「意思が弱いんじゃないの?」なんていう責めにさらされると「あぁあああ」と頭を抱えてしまいます。

分かってるんです。分かっているので治療を

 この悶絶タイプにとって、増税は二重の苦しみを生みかねません。「たばこが値上げ? ああぁぁ、たばこやめられないのに値上げなんて、お金大丈夫かな…」。もうこれだけで少し混乱してきます。「こんな状態になっても禁煙できないなんて…私はなんてダメ人間なんだ…」。 

 このタイプは本当に自分に必要なのは、実は「たばこ」ではなくて「治療」だということも理解しています。理解しているのですが、不安であったり、恐怖だったりという「心の揺れ」を考えるとたばこを手放すこと自体を諦めてしまっている部分もあるのだと思います。

 筆者が安易な増税に反対なのは、このタイプの方々の存在を知っているからです。「値段をあげたぞ。どうだもう吸えないだろう」という政策ではなく、可能な限り「たばこをやめたい? よし手伝ってやろう」という政策と両輪で進めて欲しいなと。

依存度に応じた柔軟対応ってできないものでしょうか

 禁煙外来は年々進化しています。禁煙の正しい知識を持ち合わせない医師が「ふんふん」と適当に話し聞いて、形ばかりの検査をして、禁煙パッチを手渡して「頑張りましょう」という「なんちゃって禁煙外来」はどんどん駆逐されています。

 それでもまだ「禁煙は結局、意思の力」という風潮が根強く、禁煙外来に誤解されている部分も多く残っていると思います。筆者としては、喫煙は依存度に応じて適切な対応が必要であり、病として正しく扱ってもらえるコンセンサスがあればいいなと思います。

 吸いたいから吸う人を減らすのではなく、まずは「潜在的にたばこをやめたい人にやめてもらう」。この部分への適切なアプローチができるだけも社会として大きなメリットがあると思うのです。「勝手に吸っておいて知らないよ」と非喫煙者の方々からは怒られそうですが、過去がどうかではなく、現状を踏まえて、この先どうしていくか、なのかなとも。「たばこ=悪。だから増税OK」と先走るよりも、もう少し柔軟な対応をしてくれたらいいなと望みます。

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